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犬は嬉しい時、シッポを右側に大きく振る傾向があるとか、ないとか…
この命題を解明するために、イタリアのトリエステ大学の神経科学者と獣医師による研究チームが、犬にいくつかの刺激を与え、シッポがどう反応するのか実験している。

<目的>犬は嬉しい時、本当にシッポを右側に振るのか検証する
<動物>雑種犬30頭(オス15頭、メス15頭)
<方法>カメラを設置したケージに犬を入れて、「飼い主」、「猫」、「見知らぬオッサン」、「威圧的な犬」に会わせた時にシッポの角度を正確に観察した。これを1日10回行い、25日間継続した。

<結果>
飼い主」:すべての犬がシッポを激し右側に振る傾向があった。
見知らぬオッサン」:シッポを適度に右側に振ることが多かった。
」:シッポを右側に振ったが、幅が狭かった。
威圧的な犬」:すべての犬がシッポを左側に振る傾向があった。

<結論>
基本的に犬が人や物を好意的に受け入れる時は、お尻に対してシッポを右に振る傾向がある。しかし、敵意を抱いた時は、シッポを左側に振る傾向がある。

<考察>
周知の通り、左脳は体の右側をコントロールし、右脳は左側をコントロールします。基本的にシッポが右側に振れるためには、シッポの右側の筋肉を使い、シッポが左側に振れる時はシッポの左側の筋肉を使う。
つまり、シッポの右側の筋肉は左脳で感じた情報を反映し、逆にシッポの左側の筋肉は右脳で感じた情報を反映するということになる。

今回の実験から、飼い主さんと会うなど嬉しい時にシッポを右側に大きく振るということは、犬は人間と同じように、嬉しいというポジティブな感情を左脳で感じ取り、怖いと言うネガティブな感情を右脳で感じ取るということになる。
犬の中心線上にあるシッポが感情によってアシンメトリック(非対称)に動くことを知っていると、これまで以上に犬との生活が楽しくなるかもしれない…

<参考文献>
Curr Biol.2007 Mar 20;17(6):R199-201. jhh